女「ちょっと待って」
「ちょっと待って、これめっちゃかわ…」
「何分くらい待てばいい?」
「は?…えーと…」
美味しいものを食べた時。
可愛い服を見つけた時。
美しい景色を目の前にして。
女は、あらゆる場面で「ちょっと待って」と言う。
現代において、女の「ちょっと待って」には2パターンの意味がある。
1つ目は、私の脳みその処理速度が追い付かないほどに感情が高ぶっています、ということを表現する場合である。
現在ではこちらの副詞的用法が主流である。
試しにTwitterで「ちょっと待って」を検索してみると、女の「ちょっと待って…めっちゃかっこいい…😭🙏」がヒットしまくる。
あと自分の車をアイコンにしている感じの男も使っているようだ。
これは考えてみるに、使っている人間が、単に脳が矮小な人間なのではないだろうか。
処理速度が、もうただただ遅いのだ。
下書き機能もあるのに、自分の中で整理してからツイートすればよろしいものを、思考を放棄してまで言うことかね。
待て、ができない。獣なのだ。
SNSが産んだ悲しき獣。そういう感じがするし。
2つ目は、今あなたがしている動作をストップして、私に注意を向けてください、の意味である。
「ちょっと待って、私今日具合悪い…」
何を待てばいいのか。勝手に寝てろ。
これはみんなに注目して欲しいものの、直接的にその旨を言うことができないのだ。
あの手この手で他人の注意を引こうとする。
しかしその本質へ言及することはできない。
承認欲求の塊。SNSが産んだ悲しき獣。
「ちょっと待って」
いくら叫んだって、時間は止まらない。
「何分待てばいい?」
「あ、いや…そういうことじゃないし」
「そういうことじゃないってどういうこと?」
「ちょっと待ってって言ったよね、何分?」
「…もういいわ、ごめん」
「私が悪かったってことでいいわ」
「悪かったってことでいいって何?
本当は悪かったと思ってないってこと?」