記憶喪失になりたい
注意:この記事はフィクションです。
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此の、此れ、此処にはもう、あることしかない。
知ったし、考えたし、やりすぎた。もうなくなった。
辛いことがあったとか、忘れたい過去とか、メンヘラとか。なまぬるい空気も、すれ違う女のにおいも、リーマンの話し声も、もう全部ある。
世の中、という言葉もあって、ブログ、というメディアもある。思慮の浅い深いも、気遣いできるできないも、あることしかない。あるんだ。あるんだよ。あるんだよね。あるんだよね〜〜〜〜〜〜〜。
やり尽くされてるというか、もうある。既にあるという、既にということとは少し違うけれど、ある。此の世にはあるしかない。
ボコボコにカツアゲされる想像も、ギチギチに激詰めする空想も、オンナをぶん殴るシミュレートも、自撮りする外国人観光客を殺す算段もある。空虚な、自己完結された、まだ明らかになっていないものも、もうあるものからある。
過去に耽ることも、未来へ馳せることも、もうある。
会話も、何者も、何故も、もうある。
分かったとも知っているとも違う、あるという事実、現実は、私の主観を、私の脳を抉りました。
もうないものなんて、3つある。
記憶喪失になりたい。やりすぎた。なくなった。もうないよ。
調べればすぐにわかることだけではなく、調べてもわからないことだって、あるとしか言えない。
まだないものなんて、3つあった。
2017 6 22